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映画レビュー『夢売るふたり』

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2012年、21本目の鑑賞作品です。


【あらすじ】
東京の片隅で小料理屋を営む貫也(阿部サダヲ)と妻の里子(松たか子)。店は小さいながらも順風満帆だったが、火事で全てを失ってしまう。ある日、貫也が常連客と一夜を共にし、すぐに里子の知るところとなるが、里子は結婚詐欺で金をだまし取ることを考案する。結婚願望の強いOLなど寂しい女たちの心の隙につけ込んで、店を再開するための資金を稼ぐ二人。しかし、夫婦の関係に影が差し始め……。



監督:西川美和
キャスト:松たか子 阿部サダヲ 田中麗奈 鈴木砂羽 木村多江 安藤玉恵 江原由夏 やべきょうすけ 大堀こういち 倉科カナ 古舘寛治 小林勝也 伊勢谷友介 香川照之 笑福亭鶴瓶
公開日:2012年09月08日
公式サイト:http://yumeuru.asmik-ace.co.jp/

【感想】( ネタバレ要注意!)

2006年 『ゆれる』以来、西川監督のファンです。
今回の作品も心待ちにしていました。

小さな居酒屋を営む貫也(阿部サダヲ)と妻の里子(松たか子)
子供はいないが、夫婦二人で支えながら生きている。
20人も入れば満席になるような小さな店も順調のようだ。

そんなある日、焼き鳥を焼いていた炭火から火が移り
火災を起こし、すべてを失ってしまう。
無気力になってしまう夫。
一から始めればいいと、ラーメン店でパートを始める妻。

この辺りまでのストーリーはよくあるお話。
ここからが西川監督のチカラの見せ所。

ひょんなことから店の客だった玲子(鈴木砂羽)と関係を持つ貫也。
不倫相手の急死で、その弟から手切れ金をもらった玲子は
貫也にその手切れ金を使って欲しいと渡すのだ。

この手切れ金でなんとか出直そうとする貫也に
妻の里子は、はじめこそ嫉妬を覚えるが
夫婦で女性をだまして金を得ることを思いつく。
女は女同士。弱みもそのケアも良くわかっている。
夫を使っての結婚詐欺がはじまる。

家族や妹、周りから「結婚は?」とせがまれ
結婚出来ないことに悩みを抱える女。

オリンピック候補と言われながら、なかなか力量を発揮できず
恋愛に悩む、ウェイトリフティング選手の女。

前夫のDVから逃げ出し、東京で年齢をごまかしながら
風俗嬢をしている女。

小さな子ともを抱えながら、年老いた父と暮らす公務員の女。

世間一般から見れば、ちょっとかわいそうな女たち。
その女たちが結婚詐欺にあう、その心理。
その女たちをだます、夫婦の心理。
そんな心理がとてもうまく描かれていて
女性ならば「うん、うん」と、どちらの方向からも頷ける。

この作品の本当の面白さ(?)は、貫也(阿部サダヲ)と妻の里子(松たか子)の夫婦関係にあると思います。

本作は頻繁に性的描写のシーンが出てきますが、貫也と里子のシーンは一切ない。かと言って不仲というわけでもない。寄り添って眠るシーンなどは、どこか殺伐としたストーリーの中でホッとできるシーンでもあった。

もう一度ふたりで店を持ち出直したいと願う夫婦が、夫に結婚詐欺を働かせ、そのシナリオを作り指示をする妻。夫が外で他の女を抱いている最中、妻は家で夫の帰りをひたすら待つ。少しずつ崩れて行く夫婦関係。

このあたりで里子の心情が見え隠れする。
貫也を待つ間、自慰にふける里子。
その里子が読んでいるのが、子宮がん、乳がん、、の専門書。
詐欺の手口にと読んでいるようには思えず

里子自身の身体的なものを暗示するシーンだったのかもしれない。かと思えば、突然来る生理にナプキンをおもむろに取出し、パンツを履きかえるシーン。もしかすると貫也と里子は長い間セックスレスであり、また里子も身体的な理由から子供が授からないのかもしれない。

その証拠に、小さな子ともを抱えながら、年老いた父と暮らす公務員の女の家に出入りする貫也は明らかに今までとは違う。子供と一緒に遊ぶ姿は、まるで父親のようだ。

ラストは観る側に投げかけられたような感もあるけれど
私は西川監督のこの手法が嫌いではない。
というかむしろ好き。

里子の本当の「虚」は子供が持てなかった事ではないだろうか。
どんな方法で女をだましても、お金を手に入れても
手に入れられないもの、それが子供だった。

そんな里子の気持ちを逆なでするように、貫也は子供のいる女の家に入り浸る。貫也の「虚」もまた、里子同様、子供だったのかもしれない。ラストで貫也が子供の罪をかぶってしまう、そのひとつを見ても貫也の気持ちがそこにあるような気がしてならない。

松たか子さん、頑張りました。
阿部サダヲさん、ちょっと情けない最低な男だけど、何故か彼が演じると許せてしまう・・・というか、クスクスと笑い声が漏れてしまうところを見ると、皆さん同じキモチかなぁ。ま、それが本作を魅力的にもしているような気がしますが。

2006年 『ゆれる』
2009年 『ディア・ドクター』
2012年 『夢売るふたり』
3年毎かぁ・・・次は2015年?いずれにしても西川美和監督、楽しみです。

評価 :80点  <個人の気まま勝手な評価なのであしからず。>
わらい度 : ★★☆☆☆
なみだ度 : ☆☆☆☆☆
お勧め度 : ★★★☆☆

* 本日も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
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by Firstsnows | 2012-09-18 22:45 | 映画レビュー2012
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